【強皮症】診察時間を有意義にする4つの事前準備

受診前

「主治医に相談したいことが山ほどあったけど、いざ診察室に入ったら、緊張して思っていたことがきけなかった」という経験はないでしょうか?

主治医を前にすると、緊張したり、質問してもいいのかな?と迷ったり、時間が気になったりして、思うように話せない方も少なくありません。特に難病は自分の症状を言語化することが非常に困難です。診断から間もない患者さんが「診察のときに、何を話せばいいのですか?」とおっしゃることも少なくありません。
ここに示す4つの事前準備によって、診察がより有意義な時間になるよう心がけてみましょう。

診察のためのメモ取り:日々の体調を記録しよう

強皮症の症状は一定ではありません。
例えばレイノー現象が出たのは、どんな場面か、頻度はどうか、持続時間は・・・となると覚えているのは困難です。息苦しさや息切れ、咳が激しくなったのも記録しておかないと分からなくなります。主治医に相談したいことがあっても受診日まで時間があると忘れてしまうということもよくあります。

そこで、メモの習慣が大事になります。「あ、これ聞いてみたい」と思いついた時に、メモをしておくことは「相談忘れ」予防に非常に有用です。

受診は「患者が自分の情報を伝える時間」でもあります。そこで情報が医師に正しく伝わらないと治療の遅れにつながる可能性もあります。
手帳やスマートフォンのメモ機能を利用し、自分に合った方法でメモする習慣をつけ、たくさんあった場合には優先順位をつけておけば落ち着いて質問できます。受診の前日にメモを元に「伝えること、質問すること」を整理しておくとよいでしょう。

レイノー現象の記録:写真で伝える工夫

レイノー現象は強皮症の患者さんの多くが経験されています。
以前、「強皮症患者さんのピア相談室」でどのような皮膚症状があるかアンケートを取った時、62人中57人(9割以上)がレイノー現象を挙げていました。

これだけポピュラーなレイノー現象ですが、その状況をどのように伝えていますか?

レイノー現象の有無だけでなく、「こういうときにレイノー現象があります。色は○○です。色が元に戻るまでに○○(時間)くらいかかります。この指はいつも冷たいし、痛みもあります」と伝える方が自分の症状をより正確に伝えることができると思います。
レイノー現象が現れた時にご自身の手を撮影しておいて、診察時にその写真を示すと主治医にも状況がしっかりと伝わると思います。

基本的な内容を強皮症ハンドブックから学ぶ

強皮症に関する質問事項が増えてくると、すべてを主治医に質問するのは難しいかもしれません。そこで、強皮症専門医の監修による「強皮症ハンドブック~強皮症との共生を目指して~」を利用して、基本的な疾患理解、患者さんの経験を元にした情報を参考にされることをお勧めします。受診をスムーズにするための受診シートもあります。詳細については、こちらの記事でご確認ください。
診察時間を有効活用できると、主治医からより多くの情報を得ることもできるようになります。

同じ病気の患者さんに聞いてみる

強皮症との共生をするには、同じ病気を持つ患者さん同士のコミュニケーションも有益です。自分がほしい情報を直接得られることが多く、不安の軽減や精神的な支えにもなります。
当サイトでは、強皮症患者さんが集まる「強皮症患者さんのピア相談室」というオンラインコミュニティを運営しております。参加者の5割近くが診断から3年未満の患者さんです。診断から日が浅い患者さんが先輩患者さんから検査・治療・日常生活上の具体的な注意・役に立つ便利グッズなど、さまざまな情報を得ています。
「どんな検査をするのですか?」
「この治療を受けた方はいますか?」
「こういう場合、すぐに病院に連絡した方がいいですか?」
など、知りたいことに対して、タイムリーに答えをもらうことができます。
全身性強皮症は非常に個人差が大きい疾患ですが、100名以上の強皮症患者さん・ご家族がいらっしゃるので、同じような苦しみを経験した方がコミュニティの中にいらっしゃると思います。
ただし、患者さんの経験に基づくものなので、医学的な側面については必ず主治医の先生にご確認ください。

まとめ

強皮症との共生は長い旅になりますが、適切な準備と理解、そしてコミュニティからのサポートを得ることで、その旅は少しでも楽になります。これらの事前準備を活用し、自身の病状に向き合い、より有意義な診察時間を過ごすための一歩を踏み出しましょう。