【夏場にカイロ!?】強皮症患者さんの夏場の過ごし方

夏場の対策

「冷房をかけて薄着で過ごしたら、つい冷やし過ぎて体調が悪化してしまった…」という経験は、全ての強皮症患者さんが1度は通ってきた道かもしれません。
強皮症患者さんにとって、夏場は暑さだけでなく「冷え」に対しても注意が必要になります。
今年の夏は熱中症はもちろん、冷えによる体調悪化も避けられるように、夏場の過ごし方の工夫をいくつか紹介します。

エアコンや扇風機の工夫

まずは快適な室内環境の維持のため、エアコンは必要な冷房装置となりますが、過度な冷房は体を冷やして体調不良の原因にもなるので注意が必要です。
エアコンの上手な使い方として、冷房だけに頼らず「除湿機能」を使ってみることも効果的です。高温多湿の夏場、湿度を下げることで快適に過ごせることもあり、「冷房設定ではなく、除湿だけで過ごす」患者さんもいます。
また、適切な室温を保つためにエアコンの設定温度は微調整し、さらに風が直接体に当たらないよう扇風機を併用することで体温調節を助けることができます。植物などを部屋に置くことも有効です。

衣服の工夫

体温調節にも大きく影響するのが、着用する衣服です。天然素材の薄着を基本に、体の冷えを防ぐためにレイヤードスタイル(複数の薄着を重ね着するスタイル)を考慮してみてください。
帽子や日傘で強い日差しを避けたり、UVカットの衣服を選んだり、日中は長時間戸外にいないようにするなど、ちょっとした工夫が体調維持につながると思います。
大型施設や公共交通機関などの冷房の強い場所に行くときは、首にストールを巻いたり、長袖の羽織りものを着たりするようにしましょう。手袋も持ち歩いて、必要に応じて着けるとよいでしょう。汗をかいたら小まめに着替えることも冷やさないためのポイントです。

水分補給の工夫

夏場は汗を多くかくため、熱中症対策としての水分補給は重要です。ただし、冷たすぎる飲み物は体を冷やしすぎる原因となるので、常温のものを選ぶことをお勧めします。
とは言っても、ときには冷たい物も欲しくなると思います。「冷たい物を絶対摂ってはいけないというわけではないけれど、ただ冷たい物の飲食を頻繁にすると内臓が冷えてしまうので」と主治医から注意を受けた患者さんもいます。
猛暑のような暑さもまた体への負担が大きくなるので、そういう時は適度に冷たい物を摂ることも必要かもしれません。

また、汗を多くかいた時は、経口補水液や食べ物からミネラルを適度に補給することも意識していきましょう。

冷えで体調が悪くなった時の対策

強皮症患者の方は体調変動が激しくなりがちです。自分の体調をよく観察し、必要に応じて適度な休息を取ることが大切です。
思わぬことが不調の原因になることもあります。
裸足で過ごすこと、湯船に浸からずにシャワーだけ、汗を拭かずにいること、冷房の効いた部屋でうたた寝・・・、一見、何でもないことのように見えますが、こうした「冷えの蓄積」で体調が悪化したケースもあります。
あまりに体調がつらいので、患者会の電話相談をしてみたら「きっと冷えが原因だと思うから、手首にサポーターを巻いて、カイロを入れて温めてみて。お風呂もちゃんと湯船に浸かって」とアドバイスされ、半信半疑でやってみたら、数日の内に体調が回復したそうです。 オンラインコミュニティの中でも「夏場でもカイロを使う」という声が数多く寄せられました。外出して冷房が効いている場所に行った時でも、カバンの中にカイロがあれば、急激な冷えを避けることができます。
また、暑くても薄手の靴下を履いて、裸足になることを極力避けている患者さんもいます。

レイノー現象への対策

冷房による冷えによって皮膚が白、紫、赤に変色するレイノー現象が出てくる恐れがあります。
レイノー現象はできるだけ起こさないようにすることが大事なので、未然に防ぐために「冷えた」と感じたら指のリハビリをすることをおすすめします。握る行為は日常的にしているため、逆に手の甲側に一本ずつゆっくり反らせる運動が有効です。加減としては、痛みを感じない所で止めましょう。

もし症状が出てしまった場合、急に温めるのも良くないと言われています。急激な温度差が血管に負担をかけることに繋がってしまいます。

まとめ

強皮症は1人ずつ症状が異なりますが、「冷やさない」という意識は共通して必要になってきます。具体的な方法については、医師や専門家と相談しながら、自分に最適な対策を見つけることが重要です。
体調維持を最優先に、この夏をお過ごしください。