【自分の受診を変えていく】2人の強皮症患者さんのエピソード

受診

「あなたは症状が軽いから、治療する必要はない」
「難病だから治療法はない」
「すぐに治療をしましょう」
「様子をみましょう」
もし、目の前の医師にこのように言われたら、どのように回答するでしょうか?

「病気のことは分からないから・・・」と、受診が医師任せにして、辛い強皮症の症状を我慢していませんか?

強皮症の研究は日進月歩で進んでおり、現在ではレイノー現象、指の冷たさ、手のこわばり、手の動かしにくさ、皮膚硬化、手指潰瘍、手指の痛み、かゆみといった皮膚症状を改善する治療法が出てきています。
また、咳や息苦しさの原因の1つである合併症「間質性肺炎」の進行を食い止めるための治療方法が増えてきています。
自分の症状に関する最新情報がどこにあるのかを知ることができれば、疾患理解も医師とのコミュニケーションも変えることができます。

「強皮症患者さんのピア相談室」に参加した患者さんの中には、みなさんとの情報交換によって自分なりの受診スタイルを確立した方がいらっしゃいます。そんな強皮症患者さんお二人の事例を紹介します。

自分の希望をはっきり伝える

1人目の方は2022年に強皮症と診断された患者さんです。息苦しさを覚え、診察時に聞いてみたところ、KL-6 (間質性肺炎を調べる血液検査データの1つ) の値が高く間質性肺炎を合併していることが分かりました。1年間治療を続け、2023年5月にこちらのメッセージを寄せてくださいました。

点滴のお薬を開始してから1年経過しました。
投与直後にKL-6の数値は下がりましたが、半年後にはほぼ元の数値に戻り、投与によって少し下がり、また戻るという経過です。

「進行を止められている」とも言えますが、咳や息苦しさは相変わらずなので、先生に「新しい治療法を試してみたい」と伝えました。
また「抗トポイソメラーゼⅠ抗体値は症状の悪化と比例する傾向がある」というお話を参考に、次回も検査してもらえるようにお願いしました。
加えて胃カメラについても、先生の方から言われなかったので、自分からお願いしてやってもらいました。

さらに間質性肺炎についていろいろ聞きたいので、病院内の呼吸器内科を紹介してもらい、「現在の手のひどいかゆみと強皮症の関係や、保湿剤以外のお薬が処方できないか相談したい」と同じく病院内の皮膚科も紹介してもらいました。

こちらのオープンチャットで「他の患者さんの治療に関する情報」を得ていなかったら、主治医の言われたことだけ聞いて終わりだったと思います。

LINEオープンチャット「強皮症患者さんのピア相談室」

診療科連携をしている病院に通う患者さんの例を参考に、自分から主治医に働きかけて「診療科連携」を実現しているケースです。
定期的に必要な検査することや専門医の診察を受けたりすることで、余計な不安は払拭できます。自分の診療環境を自分で変えることは可能です。

この方は新しい治療法がうまくいき、肺の炎症が落ち着いたことで、肺活量の維持どころか少し改善されたそうです。

専門医と患者会のアドバイス

2人目は2020年に強皮症と診断された方です。強皮症の患者さんでよくみられる逆流性食道炎でもお困りです。
オンライン相談を通して専門医から検査・治療についてアドバイスを受け、さらにオープンチャットで得た情報を元に主治医とコミュニケーションをしていけば、自分で「よりよい治療環境」を作れます。

オンライン相談で免疫抑制薬や治療についてアドバイスをもらいました。

私は典型的な限局型でステロイドはいらないそうです。もし限局型でステロイドを使うとするなら関節痛が酷い時に5mgで抑える時だそうです。
潰瘍や内臓病変がない方は血流改善をメインに処方するので、手指潰瘍の発症抑制のために処方される薬剤があるそうです。来月皮膚科受診の時に相談をしようと思います。
逆流性食道炎もプロトンポンプ阻害薬に補助剤として消化管運動の機能改善薬を食前3回処方したりできるそうなので新しい膠原病内科の先生と相談しようと思います。

他にも薬の名前をたくさん教えていただきました。
もうひとつ限局型の合併症である「肺高血圧症」の早期発見・早期治療のため年に一度、心エコー・血液検査・呼吸機能検査を受けるようにとアドバイスいただきました。

専門医のいない地方でも自分の治療環境を整えて、専門医や患者会の皆さんにアドバイスをいただきながらだったら、強皮症と付き合っていけると思えるようになりました。

LINEオープンチャット「強皮症患者さんのピア相談室」

こうして強皮症とのつきあい方が分かっていくと、不安を軽減できます。
現在の症状のことだけでなく、予防や早期発見のことまで、自ら先生とコミュニケーションを取られています。

LINEオープンチャット「強皮症患者さんのピア相談室」の参加方法

今回ご紹介したお二人が利用されている「強皮症患者さんのピア相談室」は、LINEを利用されている強皮症患者さんご本人もしくはご家族の方であれば、無料でご登録いただけます。

参加方法については下記の通りです。
参加申込より会員登録をおこなう
②登録完了後、参加コード付きのメールを受信
強皮症患者さんのピア相談室にログイン
 ※受信したメールの参加URLよりログインしてください
④参加コードを入力
⑤入室完了

もしも「孤立」状態であったなら、お二人ともこうした受診スタイルにはたどり着かなかったかもしれません。
医師任せではなく自分が主体となって治療をしていく――ちょっと心がけてみませんか?